子どもが育つ仕組み、育てる仕掛け

1年生から6年生のつながりが見えた運動会(2011年1月1日 連載開始)
 今年の運動会も2,000人を越える入場者があり、盛大に開催することができた。保護者や家族の人たち、地域の皆さんの応援と期待の表れでもあると思うと、いつもながら責任の重さに緊張するというものだ。
 今年はあいにくの雨模様のため、プログラムを大幅に変更して、午前中に各学年の団体演技を並べることにした。学年ごとの演技を並べることで、それぞれの学年を見比べ、ちがいを知ることができたのではなかっただろうか、例年にも増して子ども達に対するお褒めの言葉をたくさん頂く結果となった。「毎日一生懸命練習に取り組んできた子ども達の演技を、何とか最後まで発表させてくれよ」とばかりに、見上げた空とにらめっこしながら、形を変えて走り抜ける黒雲の動きに一喜一憂ばかりしていた教職員の側からすれば、予期せぬ嬉しい反応でもあった。
 見比べてちがいが見えるということは、同時に1年生から6年生までの「つながり」、言い換えれば「育ちの過程」が見えるということにもなる。その意味で、高学年5年生の「ソーラン」と、最終学年6年生の「組み立て」を賞賛する声をたくさんいただいたことに、学校の「子どもが育つ」過程を認めていただけたのかもしれないと嬉しく思ったりしたものであった。
育つ仕組み・育てる仕掛け(1月17日 更新)
 セイビ小学校では、「子ども達が育つ仕組み」、教職員の側から言えば「子どもを育てる仕掛け」をできるだけたくさんつくりたいと考えている。なんと言っても一番土台になるのは毎日の授業である。それ以外でも、一歩学校に入ったら校内のいたるところ、いつの時間でも、「育つ仕組み・育てる仕掛け」が機能しているような学校であればと願っている。
 ▼30年以上も続いてきたと聞いている、サツマイモの苗植えから始まるイモ作りと収穫祭などのたてわり活動、▼食教育を中心とした親子交流会、▼(すでに「子ども達とつくる授業」のページで紹介した)校区を流れる古川で採れたタマゴを孵して育てたコイを、生まれ故郷に返す古川の学習、▼世界の困っている子どもたちを応援しようという開発援助の学習と、児童会の募金活動、▼歌あり、劇やプレゼン、研究発表ありの集会朝礼・・・等々の、学校行事や取り組みはその「仕組み」の一環でもある。機会があればその中身を紹介できればと思うのだけれど。
 今回紹介したいのがとっておきの「仕組み」。それはセイビ小学校の校舎である。「え!?」と首をかしげる顔が浮かんでくる。何せ昨年50周年を迎えたフルーイ建物なのだから。実のところ、教室のコンセントは一つしかない、窓枠も錆がこびり付く、教室の床がモコモコと盛り上がる、放送の音量が教室で変えられない、廊下が狭い、廊下の照明の不便さ・・・などなど、数え上げれば切りがないほどに出てきたり・・・?毎年の「学校教育についてのアンケート」では、各家庭からおおむね高い評価をもらっているのに、こと「施設・設備・環境」の項目では満足度がぐんと下がる。
 それなのに、とっておきの「子どもが育つ仕組み・育てる仕掛け」になっている校舎とはいったいどういうものなのだと思われるにちがいない。

大きな空と大地に挟まれて(1月30日更新)最終回
 セイビ小学校の南館は100mの長さがある2階建ての校舎だ。南館と直角をなして並ぶ、私たちが「新館」と呼ぶ「古い校舎(?)」も3階建て。どの建物も低い。校門を入ると、目の前にいきなり空と運動場の広がりが飛び込んでくる。
 つまりセイビ小学校は、大きな大きな空と運動場という大地に挟まれているのだ。運動場に立っていると、どの位置にいても大きな空が視界に入ってくる。探偵ごっこをしているときも、サッカーボールを蹴っているときも、ドッジボールや縄跳びをしているときも、ひょっとしたら友だちとケンカしているときでも、知らず知らずのうちに大きな空が視界に覗いているのだ。そんな毎日が1年間、いや卒業までの6年間続くのだから、子ども達は幸せだなぁとつくづく思ってしまう。
 クラスの教室はすべて1階と2階にあるので、休み時間はすぐに外に飛び出すことができる。6年生が1年生の教室に遊びに行ったり、低学年が高学年の教室の前で、授業が終るのを待ち構えていっしょに遊んだりすることも頻繁にある。
 これも子どもが育つ仕組み、育てる仕掛けである。経済対効果や機能性が優先される今時の学校建築と比べると、50年前の社会が残してくれた、子どもたちを豊に育てるためのプレゼントである。   おわり 
 
       西側の校舎 一番高い「新館」も3階建て
 
       北側 白い建物は隣の公民館
 
       東側
 
       南側  100mのびる2階建ての南校舎