
今年度は少人数授業担当になり、教科は3・4年生の算数を受け持つことになった。最近では少人数での分割授業、しかも習熟度別編成が多くの学校で行われている。少人数での授業は大いに結構なことなのだが、「習熟度別」授業には僕は反対である。いずれ稿を改めて詳しく書きたいと思っているが、「習熟度別」では、いわゆる「読み・書き・算」の技術・技能の訓練には効果的かもしれないが、「学びあい」が生まれない、つまり学習が生まれないと思う。
技術や技能は、学習を生み出し、さらに深めるために活用し、学習の取り組みの中で広がり定着していくものであって、決して学習の目的にされるものではないと考えている。
子どもが、「あれぇ不思議だな、なぜだろう」と〈ふしぎの心〉を持ち、「ああだろうか、こうだろうか」と試行錯誤しながら追求し、一人一人の試行錯誤や追求の過程を出し合い、交流しながらみんなで考え合っていくような学習の取り組みを生み出したいと考えている。
担任と少人数担当2人が入ることで、子どもの思考する道筋を丁寧に見つめ、アドバイスしたり、子ども同士の考えや意見をつなげたり整理する役割をして行きたいと思う。
「水のかさ」(3年生)

1.3つの大きさ、形の違う入れ物(右図)を前に並べ、「どの入れ物がいちばんたくさん水が入ると思いますか?」と質問した。子どもたちは一斉に手を上げる。その理由も聞く。前に出てきて、持ち上げたり、ひっくり返して裏を見たり、ふたをあけて中をのぞいたり・・・しながら、発言し、そう考えた理由も述べていく。
「水がたくさん入る順番」をつけることにした。

子ども達はにぎやかに「ああだ、こうだ」としゃべり合いながら、黒板に張った図の下に全員が自分の考えた順番を書き入れていった。
2.算数の実験 「水がたくさん入る順番を正確に比べる方法」を班毎に考えてノートに書いていく。そして理科室で実験することにした。正解はお楽しみにして、理科室では、大きさ、形のちがうビーカー、フラスコで比べる。
▼1つの入れ物に一杯に入れた水をもう一つのからの容器に入れて、あふれるか、不足するかで比べる。▼別の大きな容器に入れて、深さを測って比べる。▼家から持ってきたカップや水筒のふたを使って、何杯はいるかで比べる・・・等々、それぞれが工夫した方法で順番を見つけて行った。

3.実際に比べてみる
いよいよ実際に比べてみることにした。「算数の実験をしたとき、○班の人たちが、別の小さい入れ物に入れて、何杯あるかを調べていました。今日はその方法で調べてみようと思います。今日はこんな入れ物を用意しました。(といって、デシリットルますを見せる。)これはデシリットルますと言って、一杯入った水のかさを『1デシリットル』と言い、『dl』と書きます。『算数の世界のことば』なのでしっかり覚えておいてください。」と説明した上で、早速実験に取り掛かる。
もう子ども達は興味津々の目で見つめ、「ああこぼれる」「ちょっと少ない」などと声を出しながら、1杯1杯ついで行くのをため息を漏らしながら、からだを乗り出して追いかけている。「ちょうど5杯だから・・・」、みんなが一斉に「5デシリットル」と声をそろえた。
最後の容器のときには、「ガンバレガンバレ」「あと少し、あと少し」などと声援が飛ぶ。
一人一人が「自分の予想」をみんなの前に出しているものだから、余計に力が入るというものだ。計り終わったときには、「やったー」とこぶしをあげたり、拍手が起こったり、いかにも悔しそうに声を出したりと、教室中に響き渡っていた。
4.そのころ、家から空き缶やペットボトル、化粧品のビン、等さまざまな容器を持ってきて、「これは2dlと書いてあります」「これは350cc」「こっちはml、こんな字が書いてある」「gと書いてるのもある」と毎回持って来て、前に出て説明してくれるようになった。「お兄ちゃんのバイクに500ccと書いてあった」とか、「アメリカのビンにもdlという字があった。ほんまに世界共通の算数の言葉やねんなぁ。」とか、みんながめずらしいものを持ってきてくれるので、授業の前に毎回説明の時間をとることになった。
5.今度は「1リットルます」を用意して、「l」の説明と、1dlますで何杯入るかの実験をする。1l=10dlの「算数の世界のことば・やくそく」の確認。
6.ところが1ミリリットルのかさをどのようにして知らせたら理解できるのか、途方にくれてしまった。「先生な、学校中捜したけど1ミリリットルますが見つからなくてな、コーナンや、100円ショップにも行ったけどなかったんよ。」「何でかなぁ」と話した。
そこで、一人一人の持つ1dlますに、スポイトで「ほぼ1ml」の水を入れていった。「へエー、こんなに少ないんか」「小さすぎて1mlますを作られへんのとちがうか」などと呟きながら、1dlますを目の上にかざしてそこにたまっている水を見つめている。
そこで、1立方oの木の立方体を示しながら、「今配った1mlの水をこんな形にしたら、この大きさになるねんで」と言いながら、配って歩いた。「さて、この1lますに(立方体のますを見せて)、この『1mlの水の積み木』を入れたら、何個入ると思いますか」と聞いた。にぎやかに予想が出てくる。「500個」「1000個」「250個」…等々さまざまな予想が出る。塾などで「1l=1000ml」とすでに覚えているであろうと思われる子ども達も、いろんな答えを出してくるので面白い。目の前の具体物で考えることのおもしろさだと思う。
放課後、居残って、何人かで1lますに積み木を丹念に入れる子ども達があった。職員室に駆け込んできて、「先生入ったで、全部で1000個入ったわ」と大きな声で報告してくれる。授業後も課題を追求する子ども達に感心してしまう。
7.その後、「かさの換算」はプリントを中心に取り組んだ。
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