“竜一忌”番外編
6月13日、大分県中津市で開かれた“竜一忌”番外編に妻といっしょに参加しました。
松下竜一さんが2004年6月17日に亡くなって以降、毎年全国から200人を超える人たちが集まって開かれてきた‟竜一忌„でしたが、昨年の第10回をもって終了することになっていました。しかし、私もその一人なのですが、形を変えてでも、雑談をするために顔を寄せ合うだけでもいいから集まる機会を作れないかとの声が、草の根の会にたくさん届いたそうです。そして開かれたのが「番外編」と銘うった会でした。
2時から梶原得三郎さんの挨拶の後、 “草の根の会”の渡辺ひろ子さんの軽妙な司会で次々と参加者が前に出て話します。5時30分までの3時間半、ただただ延々と話が続き、また聞き続けます。それがとっても豊かな時間に思えるのですから、これが‟竜一忌„の真骨頂だと改めて思わずにおれません。一人ひとりが日々の生活を語り、身近に起こった事件を伝え、たたかいを報告し、連帯を呼び掛け、愚痴をこぼします、その度にため息や怒りや哄笑が会場に広がります。
松下さんと妻の洋子さんを描いた二人芝居『かもめ来...るころ』に主演した高橋長英さんが、「水俣を一人旅した後、『番外編』があると聞いてやってきました」と、挨拶をされました。ちょうどその日の朝日新聞に松下さんのことを書かれた直木賞作家の葉室麟さんも、松下文学について語りました。私も話をさせていただき、松下さんとの思い出や、大阪市の住民投票について話しました。
80人の参加者がありましたが、時間がなくて話せなかった人は、恒例の「居酒屋 大将」での2次会で話し継ぎます。いつもながらの屈託なく言葉を交わす無礼講の場です。私は大好きな高橋長英さんと杯を交わし、ちゃっかりと写真を撮らせてもらいました。番外編の最後にも、2次会の締めでも、しつこくひときわ声を強めて、草の根の会のスタッフから「“竜一忌”はこれで最後にします」との言葉が宣言されました。
松下竜一さんがいなくなった後、私にとって“竜一忌”は「人生のすすみ方を教えてくれとまでは言わないが、自分が時代や社会や状況の中で、今どこに立っているのかをさし示してくれる羅針盤」でありました。60歳を過ぎて尚、自分の歩く道筋が揺れ続け自信を持てないでいる私は、さてこれから何にすがって行こうかと、我が家に掛けてある松下竜一の写真に向かって、それでもまだ相談しているこの頃ではあります。
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