第8回竜一忌 反原発

                  2012年6月16日(土) 中津市教育福祉センター

 今年の第8回竜一忌は、「反原発」をテーマに掲げて開催された。昨年2011年3月11日の東日本大震災と、福島第1原子力発電所の壊滅的な事故を受け、満を持して取り組まれた企画だと思えた。松下竜一さんは40年前に朝日新聞夕刊文化面に「暗闇の思想」を発表した。(1972年12月16日西部本社版)

・・・しかも悲劇的なことに、発電所の公害は現在の技術対策と経済効果の枠内で解消しがたい。そこで、電力会社と良識派を称する人々は、「だが電力は絶対必要なのだから」という大前提で公害を免罪しようとする。国民すべての文化生活を支える電力需要であるから、一部地域住民の多少の被害は忍んでもらわねばならぬという恐るべき論理が出てくる。
 本当ならこう言わねばならぬのに―誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さねばならぬと。
 じゃあチョンマゲ時代に帰れというのかと反論が出る。現代を生きる以上、私とて電力全面否定という極論を言いはしない。今ある電力で成り立つような文化生活をこそ考えようというのである。
 まず、電力がとめどなく必要なのだという現代の絶対神話から打ち破らねばならぬ。一つは経済成長に抑制を課すことで、一つは自身の文化生活なるものへの厳しい反省で、それは可能となろう。
 冗談でなく言いたいのだが、〈停電の日〉を設けてもいい。勤労にもレジャーにも過熱しているわが国で、むしろそれは必要ではないか。月に一夜でも、テレビ離れした〈暗闇の思想〉に沈み込み、今の明るさの文化が虚妄ではないのかどうか、冷えびえとするまで思惟(しい)してみようではないか。・・・


 40年後の現在、今の状況とどう向き合うべきなのかと問いかけながら、〈暗闇の思想〉を読み直し再評価する動きが静かに広がっている。
 挨拶に立った草の根の会代表の梶原得三郎さんは、「作家が亡くなって、それを記念する集まりは回を重ねるごとに参加者が減っていくことが普通だと思っていたが、竜一忌は毎回参加者が増えている。特に今回は小出裕章さんの講演ということもあり、280名の全国からの参加者があった。」と報告された。「反原発」という言葉が、運動のために掲げる言葉であるだけでなく、一人一人の暮らしの中で抜き差しならぬものに変わってきたことを実感した。

反原発を歌うコンサートから始まった。

会場は小出裕章さんの講演に聞き入った。
      
会場からのリレートーク。毎回ながら、全国で誠実な暮らしと、一生懸命運動に取り組む生き方に感銘を覚える。演劇『かもめ来るころ』で、松下洋子さん役を演じた斉藤とも子さんもリレートークに参加した。