“緊急”共同声明(緒方正人文案)
 
 今般、政府与党の水俣病問題プロジェクトチーム(与党
PT)は、未認定患者救済策と称して、「チッソ分社化と
三年後の水俣病発生地域の指定解除を主たる内容とする特
別措置法案」なるものを今国会に提出すると発表した。
 しかしそれは、一見患者救済と言う美名体裁をとってい
るが、その正体はいよいよ加害者たちによる水俣病事件の
幕引きを画策するものであると断じなければならない。
 そもそも、原因企業チッソの本社と収益事業子会社を切
り離す「分社化」とは、加害責任から逃亡する為に本社を
替え玉として清算事業団化し、後日これをも解体するとい
うものである。その一方、切り離した事業会社グループは、
生き残って企業活動によって利潤追求を続けるからくりで
ある。
 これは、明らかに公然たる「偽装倒産計画」であると糾
弾しなければならない。さらに、このような邪悪な意図に
よる「指定地域の解除」は、今日なお続く水俣病事件の被
害実態に照らし断じて許される事ではない。
 折しも、今から三十六年前の昭和四十八年の本日三月二
十日は水俣病患者、家族による第一次訴訟の判決が下りた
忘れられない記念の日である。
 この時、熊本地方裁判所は、原告の多年に渡る計り知れ
ない病苦と苦難に満ちた尊厳からの訴えに応え、原告の全
面勝訴とした。
 一方、被告のチッソに対しては、責任逃れの主張をこと
ごとく退け、昭和三十四年の見舞金契約については、「公
序良俗に反する」と指弾し、その企業体質と罪悪性を厳し
く批判し、判決は確定したのである。
 今回、またしても公序良俗に反する分社化と地域指定解
除を、こともあろうか立法化する策動は、チッソと政府与
党、さらに環境省をはじめ国、熊本県が一体となって水俣
病封じ込めを目論むものである。
 私達は、水俣病事件の加害者らのこのような横暴かつ不
当な真実の歪曲に断固として抗議し、撤回を要求するもの
である。

右、声明する。

平成二十一年三月二十日  連名者一同