はじめに 「勉強」から「学び」へ、そして「学びあい」へ(05年3月28日連載開始)
授業について
@ 基礎学力 というもの
しばしば基礎学力と呼ばれてきた「読み・書き・算」は、学習に取り組むための手段=基礎的な知識・技能と考えている。知識や技能は、段階的に積み上げていくというよりは、機能的に学ばれていくのだと思う。子どもは、自分の持つ「読み・書き・算」の力を使って学習に取り組み、学習する中で、経験を通してさらにその力をつけていく。そして身に付けた知識・技能をつかって、次の学習に取り組んでいく。
「読み・書き・算」を学習の目的にするべきではないと考えている。
A 習熟度別授業について
習熟度別クラスは、「読み・書き・算」の知識・技能を効率よく教える、指導するためには効果的かもしれないが、そこには授業、学習は生まれないと思う。ましてや、「学びあい」は生まれない。
B 少人数授業について
「40人の子ども達が鮨詰め状態になっている教室は、今や地球上の一角、東アジアの7つの国に限定されている」と言われる。そこで、習熟度別指導ではない少人数授業の可能性を探りたいと考えている。しかし現在はできていない。
〈問題点・課題〉
・少人数担当として1年目であり、構想を練る以前に目の前の子ども達との授業を優先した。
・分割するための教室が見当たらないという現実があった。
・子どもが分割したクラスを互いに比較するかもしれない。「松森センセより、A先生がいい」等々。
・そうならないために、進度、進め方、課題を統一しようとする。授業が均一化、硬直化してしまう危険性がある。etc.
〈実態〉
入り込みで、担任と二人で授業を作っている。担任と一緒にいることで、毎時間の集中を生み出すことができる。一人ではとてもできないと実感している。
担任と少人数担当2人が入ることで、子どもの思考する道筋を丁寧に見つめ、アドバイスしたり、子ども同士の考えや意見をつなげたり整理する役割をして行きたいと思う。プリント学習のときも、より丁寧な指導が可能となる。
子どもが、「あれぇ不思議だな、なぜだろう」と〈ふしぎの心〉を持ち、「ああだろうか、こうだろうか」と試行錯誤しながら追求し、一人一人の試行錯誤や追求の過程を出し合い、交流しながらみんなで考え合っていくような学習の取り組みを生み出したいと考えている。子ども達が、少しでも学習の面白さと出会える時間に出来ればと日々考えているのだが、しかしとても難しい課題ではある。
面積 4年生 (4月9日更新)
(1)「広さ」比べ
黒板に、大きさと形が極端に違う2つの形を張り、「どちらの『広さ』が大きいだろう」と聞く。一斉に「左」と応える。「じゃあ、これはどちらの『広さ』が大きいだろう」と聞いた。
「ウーン、いっしょかな」「へこんでる所があるから左かな」・・・等々と、にぎやかに発言が続く。前に出て、2つを重ねたり、折ったりする者もある。
@ A B
「では、これだったら比べられる かな?」と、3色の長方形と正方形を黒板に張る。縮小した同色の3つの形を一人一人に配り、「班で相談しながら、『広さ』の大きい順番を見つけよう。折っても、切っても、線を引いてもいいよ、いろんな工夫をして順番を見つけてごらん。」と言った。@とBの比べ方に様々な工夫が生まれてくる。1つの方法を見つけた者が、班の者に説明している。
中には、辺の長さを計り、「6cmと8cmやから、6×8=48、こっちは7×7=49、だからBが大きい。」と、公式を使って計算する者もいる。「それは計算で出したでしょう。本当にBが大きいのかどうか、実際にそれを証明してみてよ」と返すと、図形の操作に戻って悪戦苦闘を再開した。
15分ほどで、どの班も同じ結論を出し、前に出て説明をしてくれた。
(2)「広さ」比べ2.
「じゃあ、これはどうだい?今度は簡単には行かないぞ!」と、誇張した口ぶりで話しながら、3つの形を黒板に張っていく。「もうセンセもしつこいな」といわんばかりの顔で、しかし興味津々の様子で見つめている。そして、「ええ!」と教室のあちこちでどよめきが起こった。
@ A
B
(5月7日更新)
「今度はね、『広さ』の大きい順番を、一人一人自分で予想を立てて、前に名前を書いてください」と言った。「前に出て見てもいいですか」「触ってもいいかな」「折ってもいい」などと言いながら、にぎやかに前に出て話し合う人たち、自分の席でしげしげと見つめながら考えている人たちなど様々な姿があった。予想する順番に名前を書いて、1時間目の授業は終わった。
(3)「広さ」比べ 3.
一人一人に縮小した3つの形を配る。
(@5×7=35cu A8×8÷2=32cu B1×34=34cu)
折ったり、切ったり、線を引いたり、色をつけたりしながら、班で活発に話し合っている。
見つけた方法を発表する。
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〈 @とBを比べる 〉
Bを折ったり、きったりして、@の横やたての長さに合わせて重ねていく。@>Bを発見する。
〈 @とAを比べる 〉
@とAを重ねながら四苦八苦している。重ねて、外に突き出した三角形の部分を切る者が出る。切った部分を@の上に置いていく。
@>Aを発見する。
〈 AとBを比べる 〉みんな頭を悩ませているようで、いろいろな方法で挑戦している。面積の公式で計算し、Aの方が大きいはずだと、何とかそれを証明しようとする者もある。
・Bを三角形の辺に合わせて切って重ねて行き、はみ出した「等しい辺が1cmの三角形」を一つ一つ切り取って、最後に合わせて比べた者。
・同上のようにBを重ね、斜めの辺に合わせて切り、それを次々と重ねていく者。
・1辺1cmの正方形のマスを丹念に描いていく班もあった。
試行錯誤しながら様々な方法が見つかってくる。
Aの二等辺三角形を2つに折って切り、それを合わせると長方形ができることを発見した者があった。その長方形に、Bを切って乗せていけば大きさが比べられると言う。
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さらにAの二等辺三角形を2回折れば正方形ができ、それにBを切って乗せていけばわかるという方法も出てきた。
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ついに、@>B>A という「広さ」の大きい順番を導き出すことができた。
「今日はね、松森センセの考えた『広さ』比べの方法を出してみようと思うんだ」と切り出した。「うちらの考えてた方法や」と、ニヤッと笑って声を漏らす班もあった。
(4)正方形のマスの数で比べる方法
@ A
B
マス目を印刷した、3つの形を配ると、「そうか、マスの数を数えたらわかるんやな」と言いながら、さっそく数え始める。
@:35こ、 B:34こ 、しかしAの三角形の数に戸惑う者がある。斜めの辺に沿って並ぶ三角形が2つで1つになるとわかり数える。B:32こ
「では、マス目の数を計算で求める方法はないだろうか」と聞いてみた。
・@:たて×横 5こ/列×7列=35こ
横×たて 7こ/列×5列=35こ
・B:たて×横 1こ/列×34列=34こ
横×たて 34こ/列×1列=34こ と出てくる。
Aの三角形のマス目を計算で求める方法は見事だった。
・Aの三角形をもうひとつ合わせると正方形になるから、たてと横をかけて、そのひとつ分だからそれを2で割ればよい。
・Aの三角形を2回折れば正方形ができるから、たてと横をかけて、それが裏にもあるから2倍すればよい。前時に発見した方法を使って求めたのだ。
たて×横÷2
二つに折って たて×横×2
(5)算数の世界の言葉
・「広さ」のことを「面積」と言う。
・1辺1cmの正方形の面積を「1平方cm」と言い、1cuと書く。
だから、@:35cu、A:32cu、B:34cu
いろいろな形の面積を、▼マス目の個数から求める方法 → ▼長さ×長さで求める方法をプリント学習を中心に進める。
(6) 1uの正方形の上に何人乗れるだろう?(5月22日更新)
1uの正方形の中に1cuの正方形が何個入るだろうという問題は、
たて 100こ/列×100列=10000こ
1u=10000cu
は、スラスラと導き出してきた。
では、1平方メートルの正方形の上に、いったい何人乗れるだろう?と問題を出し、予想を立てた後で、新聞紙で実際作って実験してみることにした。
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にぎやかに作業をして、記念写真を撮りながら、「ほんだら、2平方メートルやったらクラスの全員が乗れるんとちゃうかなぁ」と声が上がった。
当然さっそく挑戦してみることになる。
(7)1kuの大きさ
1ku=1000000uの換算はすぐに出てきたのだが、実際1kuの大きさがどれくらいのものなのか、実感する方法はないものかと、子ども達といっしょに考えあぐねた。運動場に1平方メートルの正方形を並べるとしても1000000個並べることはできない。腕組みしたり、頭をひねったり、1uに17人が乗れたのだから、17000000人乗れる大きさだと、その数に驚いたりしたが、実験の方法は見つからなかった。
社会と絡めて、「人口密度」の話で終わることになった。
(おわり)